ホホエマシイ旅人

拝啓S姉さん

また今度。

それが最後の言葉だった気がする。

超極貧アシスタント時代の話。
いつも空腹で、靴下に穴があいていて、化粧品と言えば、顔に塗るベビーローションしか持っていなくて、朝早いロケへ向かう電車で立ったまま寝ていた、きらびやかな平成の世の女子とは相対局な所にいた私。
いつも出入りをしていた編集部のデザイナーさんのパートナーS姉さんは、そんな平成の珍獣をとってもかわいがってくれた。
地下鉄のマップなしでは現場にたどり着けない東京音痴の私を、超セレブ育ちのS姉さんはいろいろと連れ出してくれた。
「いっぱい食べな」
と手料理を並べて相撲部屋のおかみさん風な時もあれば、
S姉さんが幌を開けたジープに乗ると、いつもの姉御肌がさらに倍増して、
「どこ見て運転してだよ! どけー」
なんて246の渋滞で叫んで、クラクション連打。歩行者の人がビビってこちらに目も向けられないほど。
まっすぐであったかいS姉さんの周りには、世が世なら伯爵やら公爵やら付きそうな人から、パラリロパラリロとやんちゃしてた人まで、ボーダーレスにいつも仲間で賑わっていた。

独立をして、ご飯の心配も、懐の心配もなくなって、調子に乗って仕事をしていたある日、
久しぶりにS姉さんから電話をもらった。

「おなか空いてないの、あんた。たまには、顔見せてよ」
と相変わらずの姉御口調。
「空いてないよ。最近、忙しいから。また、今度ね」
「全く、出世したねー。良かったよ。じゃあ、また、今度」

で、それが最後。
それから2ヶ月後に自分でお空に行っちゃった。

今日、チビノリダーの弟の件があったでしょ。

やっぱりね、残った人間は、

何であの時、ああしなかったんだろう。

って、ずーっと思うわけ。

だから、自分に関わるすべての人間は大切にしなきゃいけない。
そういう大切な事こそ、すぐ忘れちゃうんだよね。

出会った時のS姉さんと同い年になりました。
あなたのように、まっすぐであったかい人間になれてますか?
東京どころか世界を案内できる女になりましたよ、私。
予想外でしょ。
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by akaring-sun | 2009-03-11 02:44 | 何となく

職業・写真を撮る人。  余った時間日本にいない人。
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